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乳がんの転移を阻止できる? 英ケンブリッジがん研究所が英科学誌ネイチャー(Nature)に発表

ごくありふれたアミノ酸の体内の生成量や食物からの吸収量を抑えると、乳がんの転移を阻止できる可能性があることがマウスを使った実験で判明した。研究結果が7日、発表された。


 がん細胞が肺、脳やその他の臓器や骨に拡散し、腫瘍を形成する「転移」は、がん死につながる作用として知られている。研究チームは今回の研究成果を通じて、がん細胞が女性の胸部内の発生部位から拡散するのを防ぐ方法がもたらされる可能性に期待を寄せている。

 

 研究チームによると、マウスを使った今回の実験では、非必須アミノ酸の「アスパラギン」が乳がん拡散でのカギとなっている可能性があることが明らかになったという。研究論文は英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。


 タンパク質の構成単位であるアスパラギンは、がん細胞を含む人体内のあらゆる細胞で産生される他、牛肉、乳製品、鶏肉、魚介類やアスパラガス、大豆などの食物から吸収される。


  論文の主執筆者である英ケンブリッジがん研究所(Cancer Research UK Cambridge Institute)のグレッグ・ハノン(Greg Hannon)氏は、マウス実験で「腫瘍細胞のアスパラギン生成能力を変化させるか、体内でアスパラギンの可用性を低下させる薬剤でマウスを治療する、もしくは餌からアスパラギンを除去するかのいずれかの方法で、転移を減少させることができた」と説明する。


 ハノン氏は、マウスに与える餌に含まれるアスパラギンを減らすと転移が半減したと語った。また、アスパラギンを制限するその他の方法と組み合わせることで、転移は約20分の1に抑えられたという。

 

■「重大な成果の可能性」
 研究チームによると、食事の変化をがんの拡散を促進する生体内作用に関連づけたのは、今回の研究が初めてとなる可能性があるという。


 では、アスパラギンを制限した食事で、実際にがん患者の腫瘍拡散を阻止することにつながるのだろうか?

これについて研究チームは、人のがんにおけるアスパラギンの役割に関して結論を急いだり、食事の変更を推奨したりするのは時期尚早と注意を促す。


 ハノン氏は、「研究は重大な成果となる可能性がある」としながらも、今後さらに多くの研究を重ねる必要があることを強調した。


 ただ「人間に置き換えられる保証はない」と述べる一方で、マウスと同様の作用が働いていることを示す有望な兆候が見られたことを付け加えた。

喫煙本数を1日20本から1本に減らしても心臓発作や脳卒中が起こる確率は約50%のリスクになるのみ

喫煙本数を1日20本から1本に減らしても心臓発作や脳卒中が起こる確率が大幅に低下することはなく、20本の場合と比べて約50%のリスクが残るという研究結果が25日、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)で発表された。


 論文の筆頭著者である英国のロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)のアラン・ハックショウ(Allan Hackshaw)教授は、「1日に吸う本数を20本から1本に少なくすればリスクも20分の1、つまり5%に低下すると直感的に考えがちだ」と指摘。

 

 その上で、「これは肺がんのケースでは当てはまるようだが、心臓発作や脳卒中の場合は違う。1日1本の喫煙でも1日1箱分の50%程度のリスクが生まれる」と述べた。

 

 ハックショウ教授は、喫煙本数を1日数本に減らせば長期的な健康被害のリスクがほとんどなくなる、または完全になくなると勘違いすべきではないと強調している。

 

 世界保健機関(WHO)の統計によると、喫煙が原因で毎年約700万人が死亡しており、うち約200万人は心臓発作や脳卒中など循環器系の疾患によるケースだという。

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筋力トレーニングはがんによる死亡リスクを低減する 豪シドニー大学発表

筋力トレーニングはがんによる死亡リスクを低減する


シドニー大学の研究プロジェクトは、「筋力トレーニングをしている人は、そうでない人に比べて、全死因における死亡リスクが23%低く、なかでも、がんによる死亡リスクは31%低かった」との研究結果を発表した。

 

健康のためのエクササイズといえば、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動が注目されがちだが、同様に、腕立て伏せやスクワットなどの筋力トレーニングも健康維持にとって重要だ。

 

世界保健機関(WHO)では、18歳から64歳までの成人を対象とする運動ガイドラインとして、1週間あたり150分以上の有酸素運動とともに、週二回以上、筋力トレーニングを行うことを推奨している。

 

がんによる死亡リスクは31%低かった

 

では、筋力トレーニングは、私たちの寿命にどのような影響をもたらしているのだろうか。豪シドニー大学の研究プロジェクトは、2017年11月1日、疫病専門誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー」において、「筋力トレーニングをしている人は、そうでない人に比べて、全死因における死亡リスクが23%低く、なかでも、がんによる死亡リスクは31%低かった」との研究結果を発表した。

 

この研究プロジェクトでは、イングランド健康調査(HSE)およびスコットランド健康調査(SHS)の1994年から2008年までのデータを用い、30歳以上の成人80,306名を対象に、筋力トレーニングと全死因における死亡、がんによる死亡との関連性について分析。

 

その結果、週二回以上、筋力トレーニングを行っている人は、全死因における死亡リスクが23%低く、がんによる死亡リスクも31%低いことが明らかになった。また、この分析によれば、専用マシンを使わない筋力トレーニングも、ジムなどで行われる筋力トレーニングと同等の効果があると認められたという。

 

ペンシルバニア州立大学の研究結果でも
筋力トレーニングと死亡リスクとの因果関係については完全に解明されていないものの、この研究結果は、筋力トレーニングを習慣づけることが長期的な健康維持に望ましいことを示している点で、一定の評価に値するだろう。

 

同様の見解は、「65歳以上の高齢者のうち、筋力トレーニングを行っている人は、そうでない人よりも、全死因における死亡リスクが31.6%低い」とした米ペンシルバニア州立大学の研究結果でも示されている。

 

筋力トレーニングが、有酸素運動と同様、健康維持に重要な役割を果たすのにもかかわらず、現代人は、とかく運動不足になりがちなのが現状だ。オーストラリアで2011年から2012年に実施された「全国栄養運動調査(NNPAS)」によると、週二回以上筋力トレーニングを行っている人は、全体のわずか18.6%にすぎない。


家庭や公園などでもできて、ジムと同等の健康効果
この研究論文の筆頭著者であるシドニー大学のエマニュエル・スタマタキス准教授は、筋力トレーニングを習慣化するコツとして、「筋力トレーニングというと"ジムでのウエイトトレーニング"をイメージしがちだが、腹筋や腕立て伏せ、ランジなどのエクササイズは、家庭や地元の公園などでもでき、ジムと同等の健康効果が期待できる。」と助言している。

 

また、アメリカスポーツ医学会(ACSM)のガイドラインでは、筋力トレーニングの各メニューにつき、8回から15回繰り返したものを1セットとし、セットごとに2分から3分の休憩を入れながら、2セットから4セット行うよう推奨している。

 

★筋力トレーニング

筋力トレーニング(きんりょくトレーニング)とは、骨格筋の出力・持久力の維持向上や筋肥大を目的とした運動の総称。目的の骨格筋へ抵抗 (resistance) をかけることによって行うものは、レジスタンストレーニングとも呼ばれる。

 

抵抗のかけ方にはさまざまなものがあるが、重力や慣性を利用するものや、ゴムなどによる弾性を利用するもの、油圧や空気圧による抵抗を用いるものが一般的である。重力による抵抗を利用する場合は特に、ウエイトトレーニングとも呼ばれる。

 

・筋力トレーニングの目的となるもの
スポーツの競技力向上
生活の質の向上
健康づくり(腰痛対策、姿勢の矯正、肥満・老化防止など →フィットネス)
怪我、病後のリハビリテーション
障害者自立支援
障害や怪我の予防
理想の体型づくり(ボディービル、痩身など)

・運動強度と効果
レジスタンストレーニングで得られる効果は、運動強度より異なる。一般に、運動強度が高く繰り返し回数が少ない場合は筋力が、運動強度が低く繰り返し回数が多い場合は筋持久力が、それぞれ発達するといわれている。

 

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骨折しても気付かないくらい痛みを感じにくい遺伝子とは? 新たな治療方法が見つかるかも? イタリアにて

昨年12月はじめのこと、科学者たちがイタリアに痛みを感じにくい家族がいることを発見しました。たとえば骨折しても気付かないくらい、痛みに鈍感なのです。

 

そしてこの症状は、家族の名字から「マルシリ症候群」と名付けられました。

 

この症状は遺伝性のもので、「ZFHX2」という遺伝子が突然変異しています。人類はまだまだ痛みについて理解していないことが多いのですが、「ZFHX2」が痛みに関係していることは判明しているそうです。

 

なので「ZFHX2」の仕組みがわかれば、将来わたしたちの治療方法が変わり、一般人でもより痛みを和らげることに繋がるかもしれないのです。

 

米Gizmodoでは、イタリアのシエナ大学で教授を勤めるレティツィア・マルシリさん(52歳)にメールインタビューすることができました。彼女の経験談やご家族のことなどが書かれています。

 

── 子供の頃に怪我をしたことがありますか? それはどのようなものでしたか?

マルシリさん(以下LM):子供の頃、ひどい怪我を負ってしまったことがありました。憶えているのは自転車から落っこちて、胸に釘が刺さってしまったことです。痛みは感じましたがそれは短い間だけでした。痛覚はあったんです。でも数秒だけでしたね。


── これ以上に痛みを感じてみたいですか?

LM:私は自分の身体のことをわかっているので、これ以上の痛みを感じるのは嫌ですね。今の痛覚より痛いことは感じたくありませんよ。


── 他者にもあなたの症状を知ってほしいですか?

LM:他の人にも、痛みの和らげ方に可能性があるということを考えて貰いたいですね。私のことをスーパーヒロインのように捉えて貰いたくありませんが。この症状を研究することで、慢性疼痛に対する新たな治療方法が見つかるかもしれません。

 

── 育児についてはどのようなものでしたか? ほかに誰が同じ症状を持っていますか?

LM:息子たちも同じ症状を持っています。ほかの子供たちより痛みを訴えることが少なかったので、おそらく他所より子育ては楽だったと思います。


── この研究に成功して欲しいと思いますか?

LM:痛みの研究について進歩があることを期待しています。将来の慢性疼痛への治療方法についても、です。

 

痛みを感じるのは動物が持つ機能で、悪い所を知らせる信号の役目を果たすためにあります。なのでマルシリさんほど痛みを感じないのは、逆に危ない場合もあるかもしれませんよね。

 

でもね♪~

 

科学の進歩は日進月歩です。

 

今まで不治の病だったものが完治するようになったり、原因がわからなかったものが分かるようになったりしています。

 

マルシリさんの遺伝子研究を通じて、痛みはごくわずかしか感じないとか、痛みで苦しむ人たちを救うヒントが見つかることを期待したいと思います。

 

諦めないで生きていきましょう。

 

 

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葉物野菜は脳をより若々しく保つ 米シカゴ・ラッシュ大学医療センターが論文を発表

日々の食事に葉物野菜を取り入れることで、加齢による記憶力低下を抑制し、脳をより若々しく保てるとする研究論文が20日、発表された。


 米国神経学会(American Academy of Neurology)の医学誌「ニューロロジー(Neurology)」に掲載された論文によると、野菜を食べていた高齢者と食べていなかった高齢者の差は歴然としており、年齢でみるとおよそ11歳分の開きがあったという。


 論文を発表した米シカゴ・ラッシュ大学医療センター(Rush University Medical Center)の科学者によると、研究は被験者を対象としたアンケートに基づいているため因果関係を証明するまでには至らないものの、健康な食生活と健全な老化との関連性を示す新たな証拠を提供するものだという。


 研究では、平均年齢81歳の高齢者960人を対象に、平均約5年間の追跡調査を実施。調査開始時に認知症だった対象者は一人もいなかった。


 対象者には、ホウレンソウやケール、コラードグリーン、レタスといった特定の食物をどのくらいの頻度で食べているかを問うアンケートを実施し、また思考力や記憶力に関するテストを毎年受けてもらった。摂取量の目安となる分量は、調理後およそ半カップの葉物野菜を1単位(皿)とした。


 調査の結果、野菜を最も食べていたグループの摂取量は、1日平均1.3皿だった。一方、摂取量が最も少なかったグループでは、1日平均0.1皿だった。
 また、野菜を毎日少なくとも1皿食べていた人では、全く、あるいはめったに食べなかった人と比べて、記憶力や思考力のテストでの成績が緩やかに下降する様子が見て取れた。


 こうした傾向は、喫煙や高血圧、肥満、学歴などの他の要素を考慮に入れた後でも変化しなかったという。


 今回の研究には参加していないが、英イングランドエクセター大学(University of Exeter)のデービッド・ルウェリン(David Llewellyn)上級主任研究員(臨床疫学)は、「この観察結果は、地中海式ダイエットを実践している人々に認知症リスクが低い可能性があることを示唆する数多くの証拠とも整合する」と指摘している。
 地中海式ダイエットでは、植物由来の食物を摂取する一方、赤身肉を制限するというのが主な特徴の一つだ。


 また、今回の研究について英ロンドンの慈善団体「アルツハイマー協会(Alzheimer’s Society)」の研究員は、「認知症を直接調べてはいないので、症状の抑制や予防に効果があるかは分からない」としたが、「しかしビタミンKが豊富な食物を毎日1~2皿分食べていた高齢者は、食べていなかった高齢者に比べて記憶力テストの成績が良い」ことを指摘している。

 

約四半世紀前に凍結保存された受精卵で、米国人女性が健康な女の子を出産

テネシー州で11月、約四半世紀前に凍結保存された受精卵を使い、米国人女性が健康な女の子を出産した。病院関係者によると、出産に成功した受精卵の凍結保存期間としては世界最長記録となるとみられる。


 テネシー州ノックスビル(Knoxville)のナショナル・エンブリオドネーション・センター(NEDC)は、この赤ちゃんが11月25日に生まれ、エマ・レン・ギブソン(Emma Wren Gibson)ちゃんと名付けられたと明らかにした。

 

 受精卵は別のカップルのもので、1992年10月14日から凍結保存されていた。NEDCのマーケティング部長を務めるマーク・メリンジャー(Mark Mellinger)氏が語ったところによると、エマちゃんを出産した母親のティナ・ギブソン(Tina Gibson)さんは1991年生まれで、使用された受精卵と母親のティナさんの年齢が1歳しか違わないという見方もできる。


 ティナさんは妊娠するまで受精卵が24年以上前に凍結されたものとは知らされていなかったという。


 NEDCは、米テネシー大学(University of Tennessee)プレストン・メディカル図書館(Preston Medical Library)の研究員の話として、今回の事例は出産に成功した受精卵の凍結期間としては最長になるという。


 これまで最長とされてきたのは20年間凍結保存されていた受精卵で、2011年にニューヨークの女性が男の子を出産した。

米たばこ各社が喫煙が原因で「1日平均1200人」の米国人が死んでいると認める新聞広告を掲載

米たばこ各社が26日、喫煙が原因で1日平均1200人の米国人が死んでいると認める新聞広告を掲載した。米連邦地裁は11年前、米たばこ業界が喫煙の危険性について国民を欺いていたとして「是正声明」を公表するよう命じていたが、業界側が表現をめぐって争っていた。

 新聞の全面広告には、黒い文字で「連邦地裁はR・J・レイノルズ・タバコ(R.J. Reynolds Tobacco)、フィリップ・モリスUSA(Philip Morris USA)、アルトリア(Altria)、ロリラード(Lorillard)に対し、喫煙による健康被害についてこの声明を掲載するよう命じた」「喫煙で平均1200人の米国人が死んでいる。毎日」などと書かれている。

 連邦地裁のグラディス・ケスラー(Gladys Kessler)判事は2006年、米たばこ業界は喫煙が健康にもたらす危険性について何十年にもわたって国民を欺き、法を犯して金儲けをしていたと認定。5つの健康項目について是正声明を公表するよう命令した。

 しかし、メーカー側が広告に掲載する具体的な表現をめぐって提訴したため、棚上げ状態になっていた。2014年になって、政府とメーカーが主要な日曜紙やゴールデンタイムのテレビ広告で1年間にわたり啓発キャンペーンを行い、たばこのパッケージにも警告を掲載することで合意したという。


米国のたばこ会社がこの週末から、喫煙の害について啓発するキャンペーンをゴールデンタイムのテレビCMや新聞広告を通じて展開する。26日にも掲載が始まる見通しだ。

米連邦裁判所は米国のたばこ会社に対する「是正措置」として、喫煙の危険性に関する情報を一般に公開して周知を図るよう命じていた。

米司法省は1999年、米国のたばこ大手や業界団体などを相手取って訴訟を起こし、国民は50年あまりにわたってあざむかれ、金をだまし取られてきたと訴えた。

2006年の判決では、たばこ会社による違法行為があったと認定。宣伝内容に強い文言で警告を表示し、喫煙が健康に及ぼす害について印刷広告で詳しく説明するよう言い渡した。

裁判所の命令に従って、今回の広告費用はたばこ大手のフィリップモリス、ロリラード、R・J・レイノルズ、アルトリアグループが負担する。

「具体的な文言や、いつ流すか、フォントの大きさなどを巡る争いは10年も続いた」。たばこ規制に詳しいカリフォルニア大学のスタントン・グランツ教授はそう解説。今回の広告には「公衆に対して50年もついてきたうそを逆転させる意味もある」と指摘する。

広告では白地に黒い文字で「喫煙は心臓病、肺気腫、骨髄性白血病、がんの原因になります」と明記し、たばこの中毒性、受動喫煙の危険性、低タールたばこの危険性などについて告知する。

マールボロ」のメーカーを傘下にもつアルトリアは裁判所の命令を受けて今年10月に発表した声明で、「米連邦医薬品局(FDA)の規制対象となったことを含め、この20年で業界は大きく変わった」と述べ、「リスクが低いたばこ製品の開発に取り組む」と強調。

「責任ある企業としての社会の期待に沿う事業展開に努める。その一環として、我々の製品の健康への影響についてオープンに伝え、引き続き禁煙の取り組みを支援し、未成年のたばこ使用防止を後押しして、潜在的リスクを減らした製品を開発する」とした。

R・J・レイノルズは声明で、「論議の多い業界における責任ある企業として、命令には全面的に従う」と表明。「我々は、たばこの使用に関して論議を呼んでいる多くの問題の解決に取り組んでいる。今日のたばこ業界は、訴訟が起こされた1999年とは大きく様変わりした」と述べている。

たばこ会社を相手取った訴訟には、米がん協会、心臓協会、肺協会などもかかわってきた。

がん協会のクリフ・ダグラス氏は言う。「50年にもわたってたばこ業界が共謀して詐欺をはたらき、公衆や衛生専門家や政府をあざむいてきた時代は、ある程度は終わる」「今こそ業界は世界に向けて真実を語らなければならない」

ただ、若者のメディア利用は激変してユーチューブやソーシャルメディアが主流になり、新聞を読む若者は減った。そうした中で、新聞広告やテレビCMの効果を疑問視する声もある。

たばこ増税や写真を使った警告表示、メンソールたばこの販売禁止に対しては、業界が反対し続けている。「これで1つの時代が終わると言えればいいのだが、そうはいかない」。たばこ規制を訴える非営利団体のロビン・コバル代表はそう語った。

 

喫煙は百害あって一利なし


世界保健機関(WHO)は31日、喫煙が環境に与える悪影響に関する報告書を発表した。世界では年に700万人が喫煙が原因で死亡しており、医療費と生産性低下による経済的損失は年に1兆4000億ドル(約155兆円)に達するという。

またタバコは、栽培や製造においては森林伐採や環境汚染の原因になり、大量のごみを地球環境にもたらしてもいる。

例えば栽培地ではタバコ以外の作物は作られないことが多いため、タバコも土壌も病害虫に弱くなっており、栽培には大量の農薬が必要となる。

また専門家によれば「タバコは土壌から大量の栄養素を吸い上げるため、大量の肥料が必要となる。これにより、土質の悪化や砂漠化を招き、生物多様性や野生生物に対してマイナスの影響をもたらしている」という。

タバコの葉の加工には大量の材木が使われている。

熟成に使われる材木の量は世界で年に1140万トン。木を燃やして葉の乾燥が行われるケースもある。タバコ300本あたり1本の木を消費している計算だ。

また、吸い殻などのごみの量は毎年3億4000万〜6億8000万キロに達しているという。
WHOの試算によれば、2012年に毎日たばこを吸っていた人の数は約9億6700万人。消費されたたばこは6兆2500億本近くに達するという。

たばこ税の徴収額は世界で年に2700億ドルに達しているが、WHOはたばこ消費を減らすためにさらなる増税や値上げを提案している。例えば1箱あたり80セントの増税を行えば、世界のたばこ税収は現在の2倍になるという。

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